【全体講評】
解答形式:全問記述式。
分量・難易(前年比):分量=変化なし,難易度=易しい
特徴:第1問ではジュールの実験を題材に、計算問題のない適語補充問題が出題された。極めて基本的ではあるが,物理の基本用語もしっかり記憶しておく必要があり,ここで失点すると厳しい。各分野からまんべんに出題されており,隙のない受験勉強が必要である。問題数の変化はそれほどないが,昨年に比べ全体の難易度は易しいので合格平均点は上昇するであろう。
【大問分析】
問題Ⅰ<難易度:易しい>
・出題分野:熱力学
・出題形式:空所補充
*ジュールの実験を題材に、その原理・基本的な物理用語・エネルギーの変換・熱効率に関する問題が出題された。計算問題はなく,できれば完答したい。
問題Ⅱ<難易度:標準>
・出題分野:万有引力
・出題形式:記述
*地球と人工衛星の運動に関する標準的な問題。円運動・万有引力の法則・万有引力による位置エネルギー・力学的エネルギーの保存に関する総合的な知識が必要である。計算ミスに気をつけて問4までは解いておきたい。問5と問6は数学的な考察が必要であり計算力も要求されるため差がつくであろう。
問題Ⅲ<難易度:やや易>
・出題分野:コンデンサーと抵抗を含む直流回路
・出題形式:記述
*抵抗・コンデンサー・スイッチ・電池からなる基本的な回路のスイッチ開閉に伴う、電流・コンデンサーの電気量・静電エネルギー・抵抗で消費されるエネルギーなどを扱った問題。スイッチの切り替えに伴いその都度回路を書き直し、回路の振る舞いを適切に考察できるかが鍵であろう。またスイッチを閉じた直後と十分時間がたったあとの違いを明確に理解しているかが求められる。問6は戸惑ったかもしれないが抵抗の逆比が消費されるエネルギーの比になることに気がつけば容易であろう。全体的には易しく学習の成果が十分に現れる良問であろう。
問題Ⅳ<難易度:標準>
・出題分野:ドップラー効果
・出題形式:記述
*音源や観測者の移動に伴うドップラー効果の問題。基本的な問題から応用問題まできちんと出題されて受験生の理解度がしっかりと反映される良問。問1・2は基本問題。問3・4は反射板が動く典型的な問題ではあるが、十分に学習をしていないと難しく感じた受験生もいたかもしれない。問4・5・6はうなりの計算に際し振動数の大小には十分注意したい。
問題Ⅴ<難易度:やや易>
・出題分野:運動方程式とエネルギーと等加速度直線運動に関する融合問題
・出題形式:記述
*4つの物体が一部摩擦力を伴いながら運動する場合を考察する問題。それぞれの物体に対し運動方向において運動方程式を立てるか、または一体とみて適宜まとめながら運動方程式を立てることが確実にできるかがポイントであろう。摩擦力や力学的エネルギーに関する基本的な知識も必要であり、これも学習の成果がしっかりと現れる極めて良問である。
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